認知症患者さんへの向き合い方

日本の認知症の患者数はおよそ460万人で、その予備軍も同数いるといわれています。
新オレンジプランの中では地域や住宅に重きを置くことが強調されていますが、認知症の患者さんを病院でケアすることもあります。

病棟看護師として大事なことは、基礎疾患を治す、認知症を悪化させない、家族への退院指導の3点です。
これを入院時から退院時まで同時に行うことで、患者さんの早期回復、スムーズな退院、再入院の予防を促進できます。

具体的にケアするときの心構えとして最も欠かせない基本姿勢は、認知症の患者さんの自尊心を守ることです。
記憶力の低下や見当識障害など、中核症状は徐々に顕在化します。
しかし、自尊心や喜怒哀楽などの感情は大部分が残存しているため、できるだけ個人として敬う気持ちをもって接することが大切です。
たとえ些細なことでも、ケアする側が「ありがとう」、「助かります」など声に出して認知症の患者さんに伝えることにより、この人は心許せる人だという安心感や信頼感を与えることができます。

また、認知症患者さんの場合、会話に困るという声が病棟看護師からあがることが多いです。
認知症に加え、加齢により耳が聞こえづらくなると話を伝える側にも工夫が必要になります。
会話をするときには聞こえやすいように落ち着いた低めの声で、ゆっくり、はっきりと伝えることが大事です。
また、一度に話す内容が多いと混乱する傾向にあるので、一つひとつ丁寧に話をすると良いでしょう。